男性に関して言えば、失業率と自殺率は強い相関を持つことが指摘されている。
例えば データえっせい: 失業と自殺の時系列的相関や『この経済政策が民主主義を救う』などを参照。
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一方で時系列データでは因果関係を見るのが難しいとかの懐疑的な声もちらほら聞く。
時系列データで因果関係とか相関関係とか、かなり難しいんだよな(独り言) / “日本人男性は失業すると死んでしまう……? 失業率と自殺率のグラフがぴったり一致 - Togetterまとめ” http://t.co/niY8dR3tWS
— infobloga (@infobloga) 2015年4月27日
「相関」関係とか「因果」関係とか言い出すとややこしいので、ここではひとまず大雑把に言って失業と自殺に「関係」があるのかを調べたい。
もし自殺者に失業者が多いとすれば平均した失業率(失業者数÷労働力人口)よりも、自殺者内失業率(そんな言葉はないがいま定義した。自殺者のうち失業者に分類された人の数÷自殺者数)のほうが高くなるはずだ。
男性に関していえば、失業率に正比例するような形で自殺者内失業率が推移しており、自殺者内失業率が失業率を常に上回っている。自殺と失業は関係があると見るのが自然だろう。
(こういうのを分析するにはどういう統計手法が使えるだろうか。オッズ比? 比率の差の検定? でも自殺者内失業者は失業者の部分集合なんだよな。それにこれくらいはっきり傾向がでているときはわざわざ検定する必要ない気もする。)
失業すると自殺リスクが上がるのか、自殺リスクの高いグループが失業しやすいのか、たぶん両方ありそうだけども、経済政策は自殺者数をけっこう大きく左右するんだろうなとぼくは思っている。
ところで女性に関して見ると、こちらは逆に自殺者内失業率が失業率を下回っている。
これは不思議。これに対して直感的な解釈が付けられるだろうか。
補足事項など
失業者数と労働力人口のデータは 統計局ホームページ/労働力調査 長期時系列データより、職業・性別自殺者数のデータは 統計|警察庁から持ってきた。
手作業でポチポチエクセルにコピペしたので間違いが混入しているかもしれない。
作成したエクセルファイルは 失業と自殺.xlsx - Google ドライブにおいておくので、気になる方はご確認をお願いします。
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